07 CHECK 健康診断・予防

40代男性のだるさは更年期障害?LOH症候群の症状と受診の目安

40代男性の抜けないだるさや意欲の低下は、テストステロンの低下による男性更年期障害(LOH症候群)の可能性があります。主な症状、似た病気との違い、泌尿器科での検査と治療、生活で見直したい点を整理しました。

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Business Athlete 編集部
夜のオフィスのデスクに置かれたネクタイと腕時計、飲みかけのコーヒーと健康診断の封筒

Key Pointsこの記事の要点

  1. 男性更年期障害(LOH症候群)は、加齢やストレスでテストステロンが低下し、心身や性機能に不調が出る状態です。
  2. うつ病や甲状腺の病気、睡眠不足でも似た症状が出ます。自己判断せず、泌尿器科などで血液検査を受けます。
  3. 治療の土台は睡眠、体重管理、運動などの生活習慣の改善です。症状によってはホルモン補充療法も検討されます。
目次6
  1. 男性更年期障害(LOH症候群)とは?
  2. どんな症状が出る?体・心・性機能のサイン
  3. 疲れやうつ病との違いは?似た症状の病気
  4. 何科で何をする?検査と治療の流れ
  5. 40代の働き方で見直したいことは?
  6. 今日からやること

40代男性の「寝ても疲れが抜けない」「やる気が出ない」という不調は、男性更年期障害かもしれません。男性ホルモン(テストステロン)の低下によるもので、医学的にはLOH症候群と呼ばれます。ただし、同じような症状はうつ病や甲状腺の病気、睡眠不足でも起こります。2週間以上続くなら自己判断せず、泌尿器科などで問診と血液検査を受けるのが確実です。睡眠や体重などの生活習慣の見直しは、治療の土台にもなります。

男性更年期障害(LOH症候群)とは?

男性更年期障害は、主に加齢やストレスによってテストステロンが低下し、体、心、性機能にさまざまな不調が出る状態です。国際的には「加齢男性性腺機能低下症候群(LOH症候群)」と呼ばれます。日本では、日本泌尿器科学会と日本メンズヘルス医学会が2022年に診療の手引きを改訂しています。

女性の更年期は、閉経の前後に女性ホルモンが急に減ることで起こります。男性には閉経のような区切りがなく、テストステロンは年齢とともにゆるやかに下がります。そのため、症状が出る時期にも、出方にも個人差が大きいのが特徴です。

テストステロンが低下した状態の割合は、40代で約10%、50代で約20%、60代で約50%と報告されています(厚生労働科学研究の報告書より)。ただし、数値が下がっても症状が出ない人もいれば、数値以上に症状が強い人もいます。

厚生労働省が2022年に行った調査では、40代男性のうち、更年期障害と診断されたことがある人は1.5%でした。一方、自分は更年期障害かもしれないと考えている人は8.2%いました。症状を自覚しても、医療機関を受診していない40代男性は86.6%にのぼります。

40代は、症状を自覚しやすい条件が重なる年代でもあります。管理職としての責任が増え、睡眠時間が削られ、会食で体重も増えやすい時期です。こうした生活の変化とホルモンの低下が重なると、「年のせい」「忙しいせい」と見過ごされがちです。

ポイント 男性更年期障害は「気の持ちよう」ではありません。病態はまだ十分に解明されていませんが、診療の手引きがある、治療の対象となる状態です。

どんな症状が出る?体・心・性機能のサイン

症状は大きく3つに分けられます。多くは疲れやストレスと区別がつきにくいため、複数が重なって続いていないかを見ることが大切です。

分類主な症状
体の症状発汗、ほてり、疲れやすさ、筋肉量や筋力の低下、骨量の低下
心の症状気分の落ち込み、不安、イライラ、集中力や記憶力の低下、眠れない
性機能の症状性欲の低下、勃起障害(ED)、朝の勃起の減少

仕事の場面では、「午後の会議で集中が続かない」「以前なら気にならなかった部下の言動にイライラする」といった形で表れることもあります。休日に何もする気が起きない、好きだった趣味が楽しめない、という変化も見逃さないようにしましょう。

このうち、男性更年期障害に最も特徴的とされるのが、性機能の症状です。テストステロンの低下は、肥満やメタボリックシンドローム、筋肉が減って体が弱るフレイルとの関係も指摘されています。

症状の程度を確かめる道具として、AMSスコアと呼ばれる問診票があります。厚生労働省の調査では、40代男性の18.1%が中等度以上に当たりました。ただし、この問診票は「当てはまる人を広く拾う」性質が強く、これだけで診断はできません。

よくある誤解 「ネットのチェックリストで点数が高かったから更年期障害だ」と決めつけるのは早計です。診断には、医師による診察と血液検査が必要です。

疲れやうつ病との違いは?似た症状の病気

男性更年期障害の症状は、ほかの病気と重なる部分が多くあります。診療の手引きでも、ほかの病気を見分けることが極めて重要だとされています。

テストステロンの値に影響したり、似た症状を起こしたりするものには、次のようなものがあります。

  1. うつ病(気分の落ち込みや不眠、意欲の低下がよく似ている)
  2. 甲状腺の病気(だるさや気分の変化が出る)
  3. 糖尿病や肥満などの生活習慣病
  4. 睡眠時無呼吸症候群(いびきや日中の強い眠気を伴う)
  5. 服用している薬の影響

日本泌尿器科学会は、EDを全身の病気のサインとして捉えるべきだとしています。高血圧、糖尿病、脂質異常、喫煙、睡眠時無呼吸症候群などがEDの原因になり、ほかの病気の前触れである可能性もあります。健康診断で血圧や血糖を指摘されている人は、40代の健康診断結果の読み方もあわせて確認してください。

受診の目安 気分の落ち込みや眠れない状態が2週間以上続く、仕事に支障が出ている場合は、早めに医療機関に相談してください。死にたい気持ちがあるときは、すぐに精神科や心療内科、地域の相談窓口に連絡しましょう。

何科で何をする?検査と治療の流れ

男性更年期障害を主に診るのは泌尿器科です。メンズヘルス外来や男性更年期外来を設けている医療機関もあります。

検査:症状と血液検査を組み合わせる

診断では、問診票などで症状を評価し、血液検査でテストステロンの値を測ります。2022年の診療の手引きでは、総テストステロン値250ng/dL未満を主な指標としています。遊離テストステロン値7.5pg/mL未満は、補助的な指標です。

テストステロンは1日の中でも変動するため、血液検査は空腹時に行うことが勧められています。また、テストステロンの値と症状は連続的に変わるもので、ある数値を境に病気かどうかを二分するのは難しいとされています。そのため、数値だけでなく症状を合わせて総合的に判断します。

受診時に伝えたいこと

診察の時間は限られています。次の点をメモにまとめて持参すると、医師が状況をつかみやすくなります。

  1. いつ頃から、どんな症状があるか。
  2. 平日と休日の睡眠時間、いびきの有無。
  3. 1週間の飲酒量と喫煙の有無。
  4. 飲んでいる薬やサプリメント。
  5. 今後、子どもを望んでいるかどうか。

治療:生活習慣の改善が土台

段階内容
土台睡眠、食事、運動などの生活習慣の改善、糖尿病や高血圧など持病の管理
薬の治療テストステロン補充療法(2〜4週ごとの注射が一般的)、漢方薬、ED治療薬など
経過観察治療開始後は約3か月ごとに効果と副作用を確認する

テストステロン補充療法は、前立腺がんの疑いがある人などには行えません。また、精子をつくる働きに影響することがあるため、子どもを望んでいる人は事前に医師に伝える必要があります。

補充療法の副作用としては、赤血球が増えすぎる多血症や、睡眠時無呼吸症候群の悪化などが挙げられています。ただし、副作用や効果に関する研究結果は一致しておらず、今後の研究の蓄積が待たれています。治療中は定期的に血液検査などを受け、医師と相談しながら続けるかどうかを判断します。

日本泌尿器科学会は、インターネットなどで売られているED治療薬には偽物が多いと注意しています。治療薬は、医師の処方を受けて使いましょう。

40代の働き方で見直したいことは?

生活習慣の改善は、テストステロンの値の改善や症状の軽減に役立つ可能性が示されています。仕事の忙しさを理由に後回しにしがちな点から見直しましょう。

睡眠を削らない

若く健康な男性10人を対象にした米国の研究では、睡眠を5時間に制限した生活を8日間続けると、日中のテストステロン値が10〜15%下がりました。小規模な研究ですが、睡眠不足がホルモンに影響しうることを示しています。自分に必要な睡眠時間は40代男性の睡眠時間を参考にしてください。

体重とお腹まわりを管理する

テストステロンの低下は、肥満やメタボリックシンドロームと関係しています。会食が多い人は、お酒と締めの炭水化物が体重増加の原因になりがちです。内臓脂肪を減らす方法は男性の内臓脂肪を減らすダイエットで紹介しています。

体を動かす習慣をつくる

デスクワーク中心の人は、1日の大半を座って過ごしています。まずは通勤で歩く距離を延ばす、週2回は筋トレをするなど、続けられる形で運動を取り入れましょう。筋肉量の維持は、体の症状への備えにもなります。

たばことお酒を見直す

日本泌尿器科学会は、喫煙をEDの原因の一つに挙げています。たばこは血管を傷め、高血圧や動脈硬化を通じて全身に影響します。お酒も、飲みすぎれば睡眠の質の低下や体重増加につながります。会食の多い人は、飲む日と飲まない日をはっきり分けることから始めましょう。

ストレスを一人で抱え込まない

40代は管理職として責任が増え、家庭でも役割が重なる時期です。ストレスはテストステロン低下の背景の一つと考えられています。仕事の線引きをする、相談できる相手をつくる、趣味の時間を確保するなど、意識して負荷を下げることも大切です。体調管理全般は40代のコンディション管理もあわせて読んでみてください。

今日からやること

  1. ここ1か月のだるさ、気分、睡眠、性機能の変化をメモに書き出す。
  2. 症状が2週間以上続いていれば、泌尿器科や男性更年期外来の予約を取る。
  3. 受診時は、メモと健康診断の結果、飲んでいる薬の情報を持参する。
  4. 今週は、睡眠時間を最低でも30分増やすことを優先する。
  5. 通勤や昼休みに歩く時間をつくり、体を動かす習慣を始める。

FAQよくある質問

Q男性更年期障害は何科を受診すればいいですか?

主に泌尿器科で診療しています。メンズヘルス外来や男性更年期外来を設けている医療機関もあります。気分の落ち込みが強い場合は、精神科や心療内科への相談も選択肢になります。

Qテストステロン値が正常なら更年期障害ではないのですか?

必ずしもそうとは言えません。テストステロン値と症状の関係には個人差が大きく、診療の手引きでは数値だけで判断せず、症状と検査結果を総合して評価する姿勢が示されています。気になる症状があれば医師に伝えましょう。

Qサプリメントや食べ物でテストステロンは増やせますか?

特定の食品やサプリメントで、男性更年期障害が改善するという十分な根拠はありません。まずは睡眠不足の解消、肥満の改善、適度な運動など、生活習慣全体を整えることが基本です。症状が強い場合は医療機関で相談してください。

参考資料

  1. 我が国の診療ガイドラインに基づく男性更年期障害の診療の現状(令和7年度厚生労働科学研究 分担研究報告書) 厚生労働科学研究成果データベース
  2. 更年期症状・障害に関する意識調査 基本集計結果 厚生労働省
  3. 勃起力が低下した 日本泌尿器科学会
  4. Effect of 1 week of sleep restriction on testosterone levels in young healthy men(JAMA, 2011) PubMed Central(米国国立医学図書館)

この記事は一般的な情報提供を目的としており、診断や治療に代わるものではありません。持病のある方、服薬中の方、体調に不安のある方は、医師などの専門家に相談してください。