瞑想で雑念が消えないときの対処法7つ|何を考えればいいかも解説
瞑想中の雑念は消さなくて大丈夫です。雑念に気づいて呼吸に戻ることが瞑想の練習そのものだからです。瞑想中に何を考えればいいか、雑念が止まらない理由、今日から試せる7つの対処法をまとめました。
Key Pointsこの記事の要点
- 雑念は消すものではなく、気づいて呼吸に戻るための「きっかけ」です。戻れた回数が練習の量です。
- 人は起きている時間の半分近く、目の前のこと以外を考えているという調査があり、雑念は自然な現象です。
- 呼吸を数える、心の中で名前をつける、目を開ける、歩くなど、やり方を変えると戻りやすくなります。
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瞑想中の雑念は、消さなくて大丈夫です。雑念が浮かび、それに気づき、呼吸に注意を戻す。この繰り返しこそが瞑想の練習だからです。経験を積んでも雑念はなくならず、変わるのは「気づくまでの早さ」です。雑念が止まらないときは、呼吸を数える、目を開ける、歩くなど、やり方を少し変えると戻りやすくなります。
結論:雑念は失敗ではなく「戻る練習」の材料
瞑想を始めた人の多くが、「雑念ばかりでうまくできない」と感じます。ですが、雑念が浮かぶこと自体は失敗ではありません。
米エモリー大学の研究チームは、瞑想経験者14人に、呼吸に集中する瞑想をしてもらいました。そして雑念に気づいたらボタンを押してもらい、脳の活動を調べています。その結果、瞑想中の心は次の4つの段階を繰り返していました。
- 雑念にそれる
- それたことに気づく
- 注意を呼吸に戻す
- しばらく呼吸に集中する
つまり、瞑想に慣れた人でも雑念は浮かびます。大事なのは雑念の量ではなく、「気づいて戻る」を何回できたかです。雑念が多い日は、それだけ戻る練習ができた日だと考えてください。
戻るときは、責めずに「静かに」戻る
雑念に気づいたとき、「またやってしまった」と自分を責める必要はありません。責める気持ちそのものが、新しい雑念になるからです。
気づいたら、「あ、それた」と心の中で事実だけを確認し、何事もなかったように呼吸に戻ります。戻る動作はできるだけ小さく、静かにするのがコツです。何十回戻ってもかまいません。
瞑想中は何を考えればいい?
瞑想中に、目標やなりたい姿を思い浮かべる必要はありません。かといって「何も考えない」状態を目指す必要もありません。
一般的な瞑想は、大きく2つのタイプに分けられます。
| タイプ | 注意を向けるもの | 雑念が浮かんだら |
|---|---|---|
| 集中型(サマタ瞑想) | 呼吸など一つの対象 | 気づいて、対象に戻る |
| 観察型(ヴィパッサナー瞑想) | 音・体の感覚・浮かぶ考えなど | 「今これを感じた」と確認して手放す |
初心者には、呼吸に注意を向ける集中型がわかりやすいでしょう。鼻を出入りする空気の温度や、お腹のふくらみとへこみなど、呼吸の感覚を一つ選びます。呼吸の感覚がつかみにくい人は、両手のひらの温かさや、椅子に触れているお尻の感覚を対象にしてもかまいません。一度決めた対象は、その回の瞑想中は変えないほうが戻りやすくなります。
観察型では、聞こえる音や体の感覚を「エアコンの音」「肩が重い」と、実況中継のように確認します。確認したらそこで止め、「そういえばエアコンを買い替えないと」と考えを広げないのがコツです。種類ごとの違いはマインドフルネス瞑想の記事で詳しく解説しています。
なぜ雑念は止まらないのか?
雑念が浮かぶのは、あなたの集中力が特別に低いからではありません。
米ハーバード大学の研究者がスマートフォンを使って約2,250人の思考を調べた2010年の調査があります。それによると、人は起きている時間の約47%、目の前の作業と関係ないことを考えていました。そして、心がさまよっているときほど幸福感が低い傾向も報告されています。
脳はもともと、過去をふり返ったり先の予定を考えたりするのが得意です。仕事の段取りを立てるうえでは役立つ働きで、止めようとしても止まりません。
よくある誤解 「考えないようにしよう」と強く思うほど、かえってその考えが浮かびやすくなります。雑念を押さえ込むより、浮かんだことに気づいて戻るほうが楽に続けられます。
瞑想を始めたばかりの頃は、次々に考えが浮かんで効果がよくわからない、という人がほとんどです。特に寝る前は、翌日の会議や商談の段取り、職場の人間関係への不満、将来の不安が浮かびやすくなります。雑念に悩むのは、珍しいことではありません。
雑念が増えやすい場面
同じ人でも、日によって雑念の量はかなり違います。次のような場面では、考えごとが増えやすいと感じる人が多いでしょう。
- 直前までスマホでメールやニュースを見ていた
- 締め切りや大事な商談を翌日に控えている
- 睡眠不足で、頭がぼんやりしている
- 会食や出張が続き、生活のリズムが崩れている
こうした日は「今日は雑念が多い日」と割り切り、時間を短くしたり呼吸を数えたりして、ハードルを下げましょう。瞑想の前に5分だけスマホを手放す時間をつくるのも効果的です。
雑念が消えないときの対処法7つ
雑念がつらいときは、瞑想のやり方を少し変えてみましょう。合うものを一つ選んで試してください。
1. 呼吸を数える
吸って吐いたら「1」、次の呼吸で「2」と、10まで数えたら1に戻ります。途中でわからなくなったら、1からやり直せば大丈夫です。数字という手がかりがあると、それたことに気づきやすくなります。
2. 雑念に短い名前をつける
考えが浮かんだら、心の中で「考えた」「予定」「心配」と短く名前をつけて、呼吸に戻ります。中身を追いかけずに済み、距離を置きやすくなります。
3. 吐く息を少し長くする
吸う息より吐く息を少し長めにすると、落ち着いて呼吸を感じやすい人が多いでしょう。4秒吸って6〜8秒吐くなど、苦しくない範囲で調整します。秒数は目安で、決まった正解はありません。
4. 時間を短くする
10分で雑念に振り回されるなら、3分にしましょう。短い時間で「戻れた」経験を重ねるほうが、長時間我慢するより練習になります。
5. 目を開けて行う
目を閉じると考えごとが増える人もいます。1メートルほど先の床をぼんやり見ながら行ってかまいません。眠気が強いときにも有効です。オフィスの自席で行う場合も、目を開けていれば周りから不自然に見えにくいという利点があります。
6. 歩きながら行う
座ってじっとしていると落ち着かない人は、歩く瞑想が合うかもしれません。足の裏が地面に触れる感覚に注意を向けます。やり方は歩く瞑想の記事で紹介しています。
7. 寝ながら行う
座ると雑念が気になる人は、仰向けで体の感覚を順に確かめるボディスキャンから始めてもいいでしょう。ヨガの最後に仰向けで休む「シャバーサナ」と同じ姿勢で呼吸に注意を向けると、眠りと目覚めの間のような心地よさを感じる人もいます。眠ってしまっても問題ありません。詳しくは寝ながら瞑想の記事をご覧ください。
つらい考えが離れないときは?
雑念の中には、仕事の失敗や家族の心配など、思い出すだけでつらいものもあります。こうした考えが何度も戻ってきて苦しいときは、無理に続ける必要はありません。
米国国立補完統合衛生センター(NCCIH)は、瞑想は比較的安全としつつも、不安や落ち込みなど好ましくない体験が一部の人に報告されていると紹介しています。
苦しくなったら、次のように切り替えてください。
- 目を開けて、部屋にある物を3つ数える
- 足の裏で床を踏みしめる感覚を確かめる
- 立ち上がって、窓の外を見たり少し歩いたりする
寝る前に考えごとが止まらない場合は、気がかりなことを紙に書き出し、「明日の朝に考える」と区切るのも一つの方法です。書くのは「何が気になっているか」と「明日最初にやること」の2行で十分です。解決策まで考えようとすると、かえって目がさえてしまいます。厚生労働省の「健康づくりのための睡眠ガイド2023」では、眠れないときはいったん寝床を離れ、眠気が来てから戻ることを勧めています。
受診の目安 同じ不安や考えが頭から離れず、眠れない・食欲がない状態が2週間以上続く場合は、瞑想で何とかしようとせず、心療内科や精神科に相談してください。
仕事中の雑念にも使える?
瞑想で練習している「気づいて戻る」は、仕事中にもそのまま使えます。
- 資料を作っているのに、気づくと別のメールのことを考えている
- 会議中に、次の会議の段取りが頭を占めている
- 部下との面談中に、さっきの電話の内容を思い返している
こうした場面で「今それた」と気づいたら、ひと呼吸してから目の前の作業に戻ります。瞑想の呼吸が、仕事では資料や相手の話に置き換わるだけです。
最初は、それたことに気づくまで数分かかるかもしれません。毎日の瞑想で練習を重ねると、気づくまでの時間が短くなっていくことが期待できます。ただし、仕事の集中力そのものが上がるかどうかは、研究でもまだはっきりしていません。過大な期待はせず、「戻るきっかけが増える」くらいに考えておきましょう。
「瞑想は意味がないのでは」と感じている人は、瞑想は意味ない?効果を感じない理由も参考にしてください。
今日からやること
- 呼吸を1から10まで数える瞑想を、3分だけやってみる
- 雑念が浮かんだら「考えた」と心の中で言い、呼吸に戻る
- 終わったら、雑念の数ではなく「戻れた回数」をふり返る
- 座るのがつらい日は、目を開ける・歩く・寝ながらに切り替える
- つらい考えで苦しくなったら中断し、目を開けて体を動かす
FAQよくある質問
Q瞑想中は何も考えないようにするべきですか?
「何も考えない」状態を目指す必要はありません。考えを止めようとするほど、かえって考えが浮かびやすくなります。一般的な瞑想では、呼吸など一つの対象に注意を置き、それたら戻すことを練習します。
Q雑念が多い日は瞑想をやめたほうがいいですか?
雑念が多い日も、戻る回数が多い分だけ練習になっています。ただし、つらい記憶や強い不安が繰り返し浮かんで苦しい場合は、無理に続けず中断してかまいません。目を開けて歩くなど、体を動かす方法に切り替えましょう。
Q続ければ雑念は浮かばなくなりますか?
経験を積んでも雑念はなくなりません。変わるのは、考えにそれたことに気づくまでの早さです。瞑想経験者を調べた研究でも、雑念と集中を行き来する流れ自体は続いていました。
Q寝る前に考えごとが止まらないときはどうすればいいですか?
気がかりなことを寝る前に紙に書き出し、「明日考える」と区切るのが一つの方法です。布団の中で考えが止まらず眠れないときは、いったん寝床を離れ、眠気が来てから戻ると寝つきやすくなります。
参考資料
- A wandering mind is an unhappy mind(Science, 2010) Killingsworth MA, Gilbert DT.
- Mind wandering and attention during focused meditation: a fine-grained temporal analysis of fluctuating cognitive states(NeuroImage, 2012) Hasenkamp W, et al.
- Meditation and Mindfulness: Effectiveness and Safety 米国国立補完統合衛生センター(NCCIH)
- 健康づくりのための睡眠ガイド2023 厚生労働省