瞑想のメリットとは?研究でわかった効果と40代のための始め方
瞑想のメリットは、不安や気分の落ち込み、ストレスを小〜中程度やわらげることです。研究で確かめられた効果とまだわからない効果、経営者の実践例、椅子でできる5分の始め方をまとめました。
Key Pointsこの記事の要点
- 研究で比較的根拠があるのは、不安・気分の落ち込み・痛みを小〜中程度やわらげる効果です。
- 集中力・睡眠・体重への効果は、現時点では根拠が弱いか、研究の結論がまだ出ていません。
- 椅子に座って呼吸に注意を向ける5分から始め、8週間を目安に続けてから効果を判断します。
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瞑想のメリットは、不安や気分の落ち込み、ストレスを小〜中程度やわらげることです。これは複数の臨床試験をまとめた分析で確かめられています。一方で「集中力が劇的に上がる」「痩せる」といった効果は、今のところ根拠が弱いか、結論が出ていません。過度に期待せず、椅子に座って5分、呼吸に注意を向けることから始めるのが現実的です。
瞑想のメリットは何?結論:心の負担を「少し」軽くする
瞑想とは、呼吸や体の感覚など一つの対象に注意を向け、それ以外の考えが浮かんだら気づいて戻す、という練習です。もともとは仏教などの修行法ですが、現在は宗教色を除いた形で医療や企業研修に使われています。
ジョンズ・ホプキンス大学の研究チームは2014年、47件の臨床試験(参加者3,515人)を分析しました。その結果、マインドフルネス瞑想のプログラムには次の傾向がありました。
- 不安、抑うつ(気分の落ち込み)、痛みの改善に中程度の根拠がある
- ストレスや精神面の生活の質の改善は、根拠が弱い
- 薬や運動、他の心理療法より優れているという根拠はない
つまり、瞑想は「万能の自己改善法」ではありません。心の負担を少し軽くする、副作用の少ない選択肢の一つと考えるのが正確です。
ポイント 2023年には、不安症の成人を対象にした試験で、8週間のマインドフルネスストレス低減法(MBSR)が不安症の治療に使われる抗うつ薬(エスシタロプラム)と同程度の改善を示したと報告されています。ただし対象は診断を受けた患者で、週1回の講座と毎日45分の自宅練習という本格的なプログラムでした。
研究で確かめられている効果・まだわからない効果
ネットには「記憶力アップ」「生産性向上」など多くの効果が並びます。根拠の強さで分けると、次のようになります。
| 期待される効果 | 現時点の根拠 | 補足 |
|---|---|---|
| 不安・気分の落ち込み | 中程度 | 8週間前後のプログラムで改善の報告が多い |
| 痛み | 中程度〜弱い | 慢性痛で効果の報告。研究の質にばらつき |
| ストレス | 弱い | 改善の報告はあるが、質の低い研究が多い |
| 睡眠の質 | 一部で根拠あり | 睡眠教育より改善したという分析もある |
| 集中力・記憶 | 結論が出ていない | 小規模研究で改善例あり |
| 体重 | 弱い | 食べ方は変わっても、減量効果は小さい |
米国国立補完統合衛生センター(NCCIH)も、瞑想研究の多くは予備的で、結果が楽観的に解釈されてきた可能性があると指摘しています。
集中力については、瞑想経験のない人が1日13分の誘導瞑想を8週間続けたところ、注意や記憶の検査成績が上がったという研究があります。ただしこの研究でも、4週間の時点では差が出ていません。参加者も数十人規模です。
睡眠については、睡眠に悩む高齢者49人を対象にした2015年の試験があります。6週間のマインドフルネス講座を受けたグループは、睡眠衛生の講習を受けたグループより睡眠の質の評価が大きく改善しました。ただし対象は平均66歳で、働き盛りの40代にそのまま当てはまるかはわかりません。
40代のビジネスパーソンに向いている理由
効果が「小〜中程度」でも、瞑想には続けやすい条件がそろっています。
- 道具も費用もいらず、出張先のホテルでもできる
- 1回5分からでき、会議の合間にも挟める
- 運動のように天候や膝・腰の状態に左右されにくい
- 薬と違い、飲み合わせや翌日の眠気を気にしなくてよい
健康診断の数値や部下のマネジメント、家庭のことなど、40代は気がかりが同時に増える年代です。考えごとが頭の中で回り続けるタイプの人ほど、「気づいて戻す」練習は試す価値があります。
なぜ瞑想で心が落ち着くのか?
瞑想中は、ほぼ確実に別の考えが浮かびます。「午後の会議の資料」「昨日の会食での一言」などです。瞑想の練習の中心は、それを止めることではありません。
- 考えがそれる
- それたことに気づく
- 注意を呼吸に戻す
- しばらく呼吸に注意を保つ
この繰り返しで、「考えに巻き込まれている自分」に早く気づけるようになると考えられています。不安な考えが浮かんでも、それを「今浮かんだ考え」として距離を置きやすくなる、という仕組みです。
脳の画像研究では、注意や雑念に関わる脳の部位の活動の変化が報告されています。ただし多くは小規模な研究です。「瞑想で脳が変わる」と言い切れる段階ではありません。
経営者やアスリートは本当に瞑想している?
瞑想を実践している著名人として、よく名前が挙がる人がいます。本人の発言や信頼できる報道で確認できる例に絞ると、次のとおりです。
- スティーブ・ジョブズ(アップル創業者):ウォルター・アイザックソンの伝記によると、若い頃から禅に傾倒し、曹洞宗の僧侶・乙川弘文氏に師事しました。1991年の結婚式も同氏が執り行っています。
- ビル・ゲイツ(マイクロソフト創業者):自身のブログで、かつては瞑想に懐疑的だったが、瞑想アプリをきっかけに週2〜3回、1回10分ほど瞑想するようになったと書いています。
- レイ・ダリオ(ブリッジウォーター創業者):1969年から超越瞑想を続け、朝と夕食前に約20分ずつ行うと米CNBCなどの取材で話しています。
- ノバク・ジョコビッチ(テニス選手):2016年のAFPの取材に、毎日瞑想していると答え、恐れや不安、ストレスが減ると語っています。
企業では、グーグルが2007年から社員向けに「Search Inside Yourself」というマインドフルネス研修を実施してきたことが知られています。
よくある誤解 成功者が瞑想しているからといって、瞑想が成功の理由だとは限りません。彼らの話は「忙しい人でも続けられる」という参考例として受け取るのが妥当です。イチロー氏など、本人の発言を確認できなかった人物はここでは取り上げていません。
瞑想はダイエットに役立つ?
NCCIHのまとめでは、マインドフルネスを使った方法は「食べ方の改善には有効だが、減量への効果は小さい」とされています。瞑想で直接体重が落ちるわけではありません。
期待できるのは、次のような間接的な変化です。
- ストレスで食べたくなったときに、一呼吸おいて気づける
- 会食やテレビを見ながらの「ながら食い」に気づきやすくなる
- 満腹感を感じ取ってから箸を置きやすくなる
筆者の場合、呼吸瞑想を数か月続けたころから、お酒やお菓子、ファストフードを以前ほど欲しなくなったと感じました。ただしこれは個人の感想で、誰にでも起こるとは言えません。食べ方への応用はマインドフルネスダイエットの記事で詳しく扱っています。
初心者向けのやり方:椅子で5分の呼吸瞑想
瞑想にはさまざまな種類があります。最初は、オフィスでも自宅でもできる椅子での呼吸瞑想がおすすめです。
- 椅子に浅めに座り、足を腰幅に開いて床につける
- 背すじを軽く伸ばし、手は太ももの上に置く
- 目を閉じるか、1メートルほど先の床をぼんやり見る
- 鼻から自然に呼吸し、空気が鼻を出入りする感覚に注意を向ける
- 考えが浮かんだら「考えた」と心の中で言い、呼吸に戻る
- 5分たったら、ゆっくり目を開ける
呼吸の長さを無理に調整する必要はありません。リラックスしたいときは、吸う息より吐く息を少し長めにすると楽に感じる人が多いでしょう。筆者は、鼻を息が通るときの冷たさ・温かさに注意を向けています。
寝る前なら、仰向けで足先から頭まで順に体の感覚を確かめていく「ボディスキャン」も向いています。やり方は寝ながら瞑想の記事にまとめました。他の種類との違いはマインドフルネス瞑想の記事を参考にしてください。
仕事中に使う1分版
まとまった時間が取れない日は、1分だけでも構いません。大事なプレゼンの前や、気が立つメールを読んだ直後に向いています。
- 椅子に座り直し、両足の裏が床についている感覚を確かめる
- ゆっくり3回呼吸し、吐く息に注意を向ける
- 肩や顎に力が入っていたら、吐く息に合わせて緩める
続けるためのコツ
最初の数週間は「効いている感じ」がしなくて当然です。研究でも変化が見えたのは8週間前後でした。毎日同じ時間・同じ場所で行い、できた日をカレンダーに記録すると続きやすくなります。音声の案内がある瞑想アプリを使うのも一つの方法です。選び方は瞑想アプリの記事で紹介しています。
注意 瞑想は比較的安全とされますが、2020年の系統的レビューでは参加者の約8%に不安や落ち込みなどの好ましくない体験が報告されています。瞑想中に強い不安やつらい記憶がよみがえる場合は中断してください。うつ病などで治療中の人は、主治医に相談してから始めましょう。
今日からやること
- 朝の始業前か昼休みに、椅子で5分の呼吸瞑想を1回やってみる
- 「歯を磨いたら瞑想する」のように、毎日の行動とセットにする
- 雑念が浮かんだ回数ではなく、「戻れた回数」を数える
- 8週間続けてから、眠りや気分の変化をふり返って続けるか決める
- 気分の落ち込みや不眠が2週間以上続くときは、瞑想より先に医療機関に相談する
FAQよくある質問
Q瞑想は宗教的なものですか?
源流は仏教などの修行にありますが、医療や企業研修で使われる瞑想は宗教色を除いた方法です。マサチューセッツ大学で始まったマインドフルネスストレス低減法(MBSR)が代表例で、信仰の有無に関係なく実践できます。
Q瞑想で頭が良くなったり、脳が変わったりしますか?
8週間の短い瞑想で注意力や記憶の検査成績が上がったという研究はありますが、規模は小さく、結果は一貫していません。大規模なレビューでは注意力への効果は根拠不十分とされており、「頭が良くなる」とまでは言えません。
Q瞑想だけでストレスや不安は解決しますか?
瞑想は不安や落ち込みを少し軽くする手段の一つですが、薬や運動、心理療法より優れているという根拠はありません。眠れない、食欲がない状態が2週間以上続くなど生活に支障があるときは、瞑想より先に医療機関に相談してください。
Q1日何分やれば効果がありますか?
決まった最低時間はありません。初心者を対象にした研究では1日13分を8週間続けた例があります。まずは5分で十分で、慣れたら10〜20分に延ばすと無理がありません。
参考資料
- Meditation Programs for Psychological Stress and Well-being: A Systematic Review and Meta-analysis(JAMA Internal Medicine, 2014) Goyal M, et al. / PubMed Central
- Meditation and Mindfulness: Effectiveness and Safety 米国国立補完統合衛生センター(NCCIH)
- Mindfulness-Based Stress Reduction vs Escitalopram for the Treatment of Adults With Anxiety Disorders(JAMA Psychiatry, 2023) Hoge EA, et al. / PubMed Central
- Brief, daily meditation enhances attention, memory, mood, and emotional regulation in non-experienced meditators(Behavioural Brain Research, 2019) Basso JC, et al.
- Mindfulness Meditation and Improvement in Sleep Quality and Daytime Impairment Among Older Adults With Sleep Disturbances(JAMA Internal Medicine, 2015) Black DS, et al. / PubMed Central