03 RECOVER 睡眠・回復

睡眠の質を上げる飲み物は?ヤクルト1000など機能性表示食品の見方と夜の選び方

飲むだけで睡眠の質が上がると確かめられた飲み物はありません。確かなのは夕方以降のカフェインと寝酒を避けることです。寝る前に向くノンカフェインの飲み物と、Yakult1000など睡眠をうたう機能性表示食品の表示の正しい読み方を解説します。

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Business Athlete 編集部
夜のキッチンカウンターに置かれた湯気の立つ白い無地のマグカップと、ガラスの麦茶ポット

Key Pointsこの記事の要点

  1. 飲むだけで睡眠の質が上がると確かめられた飲み物はなく、効果が確かなのは夕方以降のカフェインと寝酒を避けることだ。
  2. 寝る前に飲むなら、白湯、麦茶、ホットミルク、カフェインレスのハーブティーなどをコップ1杯程度にする。
  3. 睡眠をうたう機能性表示食品は事業者が自らの責任で届け出たもので、国が効果を審査・保証したものではない。
目次6
  1. 睡眠の質を上げる飲み物はある?
  2. 夜に避けたい飲み物は?カフェインとアルコールの目安
  3. 寝る前に飲むならどれがよい?
  4. Yakult1000など「睡眠」をうたう乳酸菌飲料は効く?
  5. 会食や出張の日は何を飲む?
  6. 今日からやること

飲むだけで睡眠の質が上がると確かめられた飲み物は、今のところありません。効果がはっきりしているのは逆の方向で、夕方以降のカフェインと寝る前のお酒を避けることです。寝る前に何か飲むなら、白湯や麦茶などカフェインを含まない温かい飲み物をコップ1杯程度にしましょう。Yakult1000のように睡眠をうたう乳酸菌飲料は機能性表示食品で、国が効果を審査・保証したものではない点を理解して選ぶことが大切です。

睡眠の質を上げる飲み物はある?

結論は「足すより、引くほうが確実」です。厚生労働省の「健康づくりのための睡眠ガイド2023」は、睡眠の質の改善に寄与する個別の食品等は現時点で特定されていないとしています。一方で、カフェインとアルコールが睡眠を悪くすることは、多くの研究で確かめられています。

区分飲み物の例睡眠への影響
夜は避けるコーヒー、緑茶、紅茶、エナジードリンクカフェインで寝つきが悪くなり、眠りが浅くなる
夜は避けるビール、ワイン、焼酎など睡眠の後半の眠りが悪化する
寝る前に向く白湯、麦茶、ホットミルク、カフェインレスのハーブティー改善の強い根拠はないが、睡眠を妨げにくい

まず避ける飲み物を減らし、そのうえで寝る前のリラックスに合う飲み物を選ぶ。この順番で考えると失敗がありません。

夜に避けたい飲み物は?カフェインとアルコールの目安

カフェインは1日400mgまで、夕方以降は控える

睡眠ガイド2023は、1日のカフェイン摂取量の合計を400mgまでにすることを勧めています。400mgは、ドリップコーヒーならカップ4杯分(700cc)、市販のペットボトルコーヒーなら1.5本分(750cc)が目安です。

量と同じくらい大切なのが時間です。日本人のカフェインの血中半減期は3〜7時間とばらつきがあります。半減期が5時間の人が19時に100mgとると、24時になっても50mg分が体に残る計算です。成人を対象にしたレビューでは、摂取量が107mgを超えると、就寝の約9時間前の摂取でも夜の睡眠に影響したと報告されています。

農林水産省がまとめた飲み物のカフェイン濃度は次のとおりです。

飲み物カフェイン(100mLあたり)
コーヒー(ドリップ)60mg
玉露160mg
紅茶30mg
せん茶、ほうじ茶、ウーロン茶20mg
玄米茶10mg
エナジードリンクなど28〜300mg(1本あたり50〜170mg)

ほうじ茶やウーロン茶もカフェインを含みます。「夜は緑茶をやめてほうじ茶に」では不十分です。茶葉(チャノキ)を使わない麦茶、そば茶、黒豆茶、とうもろこし茶なら、カフェインを含みません。

ポイント 午後の会議でコーヒーを飲む習慣がある人は、15時以降はカフェインレスコーヒーや麦茶に切り替えるのが現実的です。午後の眠気対策は昼食と仮眠の記事も参考にしてください。

寝酒はしない

アルコールは一時的に寝つきをよくし、睡眠の前半は深い眠りが増えます。しかし睡眠の後半は眠りの質が大きく悪化し、飲酒量が増えるほど夜中に目覚める回数が増えます。アルコールが分解されてできるアセトアルデヒドには、睡眠を妨げる物質を増やす働きもあります。

お酒を飲むと顔が赤くなりやすい人は、アセトアルデヒドを分解する酵素の働きが弱いタイプです。日本人を含むアジア人に多く、少量でも影響を受けやすいとされています。睡眠ガイド2023は、寝つくために飲む「寝酒」も、大量の飲酒や毎日の飲酒も勧めていません。

また農林水産省は、エナジードリンクのようなカフェインを多く含む飲料とお酒を一緒にとらないよう注意を呼びかけています。酔いを自覚しにくくなり、飲み過ぎにつながるおそれがあるためです。

寝る前に飲むならどれがよい?

カフェインを含まない温かい飲み物が無難です。ただし、ここに挙げるものに「睡眠の質を上げる」強い根拠があるわけではありません。寝る前のリラックスの習慣として使う、という位置づけです。

飲み物選ぶ理由と注意点
白湯カフェインも糖分もない。いちばん手軽
麦茶(温・常温)カフェインを含まない。夏でも続けやすい
ホットミルクカフェインを含まない。たんぱく質もとれるが、量が多いとエネルギーも増える
カフェインレスのハーブティーカモミールなど。購入時にノンカフェインの表示を確認する
生姜湯体が温まる感覚を得やすい。はちみつを入れるなら少量に

ココアは原料のカカオにカフェインを含みます。農林水産省の資料ではピュアココアの粉末100gあたり0.2gで、1杯分を5gとすると約10mgです。コーヒーよりずっと少ない量ですが、カフェインに敏感な人は夜の習慣にしないほうがよいでしょう。

「ホットミルクのトリプトファンで眠れる」は本当?

牛乳には、メラトニンの材料になるアミノ酸のトリプトファンが含まれます。このため「寝る前のホットミルクで眠くなる」とよく言われます。ただ、トリプトファンの効果を調べた2022年のシステマティックレビューで、中途覚醒が減ったとされたのはサプリメントで1日1g以上をとった場合が中心でした。解析に使えた研究も4件にとどまります。

牛乳1杯に含まれる量で同じ効果が出るかは確かめられていません。ホットミルクは「成分で眠くなる飲み物」ではなく、「温かくてカフェインを含まない、落ち着く飲み物」として選ぶのが正確な理解です。

量はコップ1杯程度に

寝る直前に水分をたくさんとると、夜中にトイレで目覚める原因になります。公的な基準はありませんが、本記事ではコップ1杯(150〜200mL)程度をすすめます。夜中のトイレが多い人は、夕食の塩分も見直してください。睡眠ガイド2023は、日中にとりすぎた塩分が睡眠中に排出され、夜間の排尿が増えると説明しています。食事面の工夫は睡眠の質と食べ物の記事にまとめています。

Yakult1000など「睡眠」をうたう乳酸菌飲料は効く?

Yakult1000のように、乳酸菌による睡眠の質に関する機能を表示した乳酸菌飲料やサプリメントが販売されています。これらは「機能性表示食品」です。効くかどうかを考える前に、この制度の意味を正しく理解しておきましょう。

機能性表示食品は国の審査を受けていない

消費者庁によると、機能性表示食品は、事業者が安全性と機能性の科学的根拠を販売前に消費者庁長官へ届け出れば、機能を表示できる制度です。特定保健用食品(トクホ)と異なり、国は審査を行いません。事業者が自らの責任で、科学的根拠をもとに表示します。

区分国の関わり機能の表示
特定保健用食品(トクホ)国が個別に審査し許可する許可された表示ができる
機能性表示食品事業者が届け出る(国は審査しない)届け出た表示ができる
いわゆる健康食品制度上の届出や許可はない機能は表示できない

つまり「睡眠の質を高める」という表示は、国が効果を確認したお墨付きではありません。届け出た内容は消費者庁のウェブサイトで誰でも確認できます。

また、紅麹関連製品の健康被害を受けて、2024年9月1日からは、機能性表示食品の届出者に健康被害の情報を収集し、行政に提供することが義務づけられました。

表示を読むときの3つのポイント

  1. 対象の条件を読む:表示に「一時的な精神的ストレスがかかる状況で」などの条件がついていれば、その条件で行った研究が根拠です。すべての人の睡眠がよくなるという意味ではありません。
  2. 機能性関与成分を確認する:どの成分を、1日にどれだけとった場合の表示なのかを確かめます。
  3. 医薬品ではないと理解する:機能性表示食品には、病気の診断、治療、予防を目的としたものではない旨が表示されます。不眠の治療の代わりにはなりません。

試してみる場合は、2〜4週間ほど同じ時刻に飲み、寝床に入った時刻と朝の休養感を記録して判断しましょう。口コミの「よく眠れた」は、飲み始めて生活を見直した効果や思い込みと区別できません。自分の記録で確かめるのが確実です。

会食や出張の日は何を飲む?

40代のビジネスパーソンは、会食での飲酒や、出張先での缶コーヒーなど、睡眠を妨げる飲み物が増えがちです。次の3つを決めておくと崩れにくくなります。

  1. 会食では最初に飲む量を決め、お酒と同じ量の水を合間に飲む
  2. 帰宅後やホテルでの「飲み直し」はしない
  3. 夕方以降の移動中は、コーヒーではなく水や麦茶を選ぶ

会食での飲み方や翌日の立て直し方は、会食が多い人の食べ方・飲み方の記事で具体的に解説しています。睡眠時間そのものの目安は、40代男性の睡眠時間の記事を参考にしてください。

受診の目安 寝酒をやめると眠れない、カフェインを減らしても寝つけない状態が続き、日中の仕事に影響している場合は、医療機関に相談してください。毎日寝酒を続けている人が急にやめると、離脱の影響で不眠になることがあります。

今日からやること

  1. 今日飲んだカフェイン入りの飲み物を書き出し、合計が400mgを超えていないか確かめる
  2. 15時以降のコーヒーとお茶を、カフェインレスコーヒーや麦茶に切り替える
  3. 寝る前の飲み物を、白湯か麦茶をコップ1杯に決める
  4. 寝酒の習慣があるなら、週に2日、飲まない夜をつくる
  5. 機能性表示食品を試すなら、表示の対象条件を読んだうえで、2〜4週間の睡眠記録とセットにする

FAQよくある質問

QYakult1000を飲めばよく眠れますか?

Yakult1000は、乳酸菌による睡眠の質に関する機能を届け出た機能性表示食品です。ただし機能性表示食品は国が個別に審査したものではなく、表示は特定の条件の人を対象にした研究に基づきます。誰にでも効くとは言えないため、試すなら2〜4週間ほど睡眠の記録をつけて判断しましょう。

Q寝る前に飲むならどの飲み物がよいですか?

カフェインを含まない温かい飲み物が無難です。白湯、麦茶、ホットミルク、カモミールなどのカフェインレスのハーブティーが候補になります。これらに睡眠を改善する強い根拠があるわけではありませんが、リラックスの習慣として役立ちます。量はコップ1杯程度にとどめましょう。

Qコーヒーは何時までなら飲んでいいですか?

睡眠ガイド2023は、夕方以降はカフェインを控えることを勧めています。日本人のカフェインの血中半減期は3〜7時間と個人差が大きく、摂取量が多いと就寝の9時間以上前でも睡眠に影響したという報告があります。午後の早い時間までを目安にすると安心です。

Q寝つけない夜にお酒を飲むのはだめですか?

勧められません。アルコールは一時的に寝つきをよくしますが、睡眠の後半の眠りを悪化させ、飲む量が増えるほど夜中に目覚める回数が増えます。毎晩の寝酒は依存や耐性につながるおそれもあります。寝酒をやめられない場合は、医療機関に相談してください。

参考資料

  1. 健康づくりのための睡眠ガイド2023 厚生労働省(健康づくりのための睡眠指針の改訂に関する検討会)
  2. カフェインの過剰摂取について 農林水産省
  3. 機能性表示食品について 消費者庁
  4. 機能性表示食品等に係る健康被害の情報提供の義務化について 愛知県
  5. The impact of tryptophan supplementation on sleep quality: a systematic review, meta-analysis, and meta-regression(Nutr Rev. 2022) PubMed

この記事は一般的な情報提供を目的としており、診断や治療に代わるものではありません。持病のある方、服薬中の方、体調に不安のある方は、医師などの専門家に相談してください。