02 MOVE ダイエット・運動

デスクワークの腰痛・肩こりを防ぐ5分ルーティン|30分ごとの「立つ」が基本

デスクワークの腰痛・肩こり対策は、30分に1回立って座りっぱなしを区切り、1時間ごとに5分体をほぐし、椅子とモニターを一度合わせることが基本です。厚労省のガイドに沿った手順と目安を解説します。

更新
読了
8分
編集
Business Athlete 編集部
オフィスチェアの背もたれに掛けたジャケットと、高さを上げたノートパソコン、デスクの上の水のグラス

Key Pointsこの記事の要点

  1. 厚労省の運動ガイド2023は、座りっぱなしを30分ごとなど、できるだけ頻繁に区切ることの重要性を示しています。
  2. 情報機器作業のガイドラインでは、1時間以内で作業を区切り、10〜15分の休止と1〜2回の小休止を入れる形が示されています。
  3. 5分ルーティンは「立つ・肩・首・胸・腰・ふくらはぎ」の順で、痛みの出ない範囲で反動をつけずに行います。
目次7
  1. なぜデスクワークで腰や肩がつらくなる?
  2. 結論:30分ごとに立ち、1時間ごとに区切る
  3. 椅子とモニターはどう合わせる?
  4. 1時間ごとの「5分ルーティン」の手順
  5. 仕事以外の時間で何を足せばいい?
  6. どんな痛みなら受診すべき?
  7. 今日からやること

デスクワークの腰痛・肩こり対策で最初にやるべきことは、30分に1回立ち上がり、座りっぱなしを区切ることです。そのうえで1時間ごとに5分だけ体をほぐし、椅子とモニターの位置を一度きちんと合わせます。特別な器具は要りません。会議と資料作成の合間に組み込める形で、手順と時間の目安をまとめます。

なぜデスクワークで腰や肩がつらくなる?

日本人はそもそも座っている時間が長い

厚生労働省の「健康づくりのための身体活動・運動ガイド2023」によると、平日1日の総座位時間が8時間以上と答えた男性は38%でした。同ガイドは、日本人の座位時間が国際的に見てもかなり長いという研究も紹介しています。

同ガイドの職場向けの章では、身体活動の不足と長い座位時間について、次のように整理しています。

  • 2型糖尿病などの健康リスクを高める
  • 腰痛や肩こり、頭痛につながりやすい
  • 労働生産性にも影響する可能性がある

原因は「姿勢」より「同じ姿勢が続くこと」

日本整形外科学会は、肩こりの原因として次のようなものを挙げています。

  • 猫背や前かがみなど、首や背中に負担がかかる姿勢
  • 長時間同じ姿勢を続けること
  • 運動不足、精神的なストレス
  • ショルダーバッグ、冷房による冷え

朝の会議から夕方の資料作成まで、ほぼ同じ姿勢で画面を見ている日は珍しくありません。正しい姿勢を保つことより、姿勢を動かす回数を増やすほうが現実的な対策です。

よくある誤解 「正しい姿勢で座っていれば何時間でも大丈夫」というわけではありません。良い姿勢でも、長時間続ければ同じ筋肉に負担がかかり続けます。

結論:30分ごとに立ち、1時間ごとに区切る

厚労省の2つの資料が示す目安

身体活動・運動ガイド2023は、座りっぱなしの時間が長くなりすぎないよう注意することを推奨しています。さらに、長時間の座位をできる限り頻繁に区切ることの重要性も紹介しています。区切る間隔の例は30分ごとです。食後血糖値や中性脂肪などのリスク低下に重要だという報告に基づいています。

一方、厚労省の「情報機器作業における労働衛生管理のためのガイドライン」では、作業時間について次の形が示されています。

  • 1時間以内を1サイクルとする
  • サイクルの間に10〜15分の作業休止を入れる
  • サイクルの途中にも1〜2回の小休止を入れる
  • ときおり立ち上がるか、立ち作業を取り入れる

この2つを合わせると、仕事中の目安は次のようになります。

タイミングやること時間の目安
30分ごと立ち上がる・背伸び・数歩歩く1〜2分
1時間ごと5分ルーティン(後述)5分
昼休み外に出て歩く10〜15分
1日の終わり首・肩・腰をゆっくり伸ばす5分

会議が続く日の区切り方

予定が詰まっている日は「時間」で区切るより「切れ目」で区切るほうが続きます。

  1. オンライン会議が終わったら、次を開く前に一度立つ
  2. 電話やWeb会議の聞き役の時間は、立って参加する
  3. 60分の会議は50分、30分の会議は25分で設定し、間に移動と休憩を入れる
  4. 資料は遠いプリンタで印刷し、取りに行く
  5. 社内の移動は1〜2フロアなら階段を使う

1日のタイムライン例(9時始業の場合)

時刻区切り方時間
9:00〜9:30メール処理の後に立って背伸び1分
10:00朝の会議の終わりに5分ルーティン5分
10:30〜11:3030分ごとに立つ(電話は立って)各1分
12:00〜13:00昼食後に外を歩く15分
14:00〜16:001時間ごとに5分ルーティン各5分
17:30退勤前に首・肩・腰をゆっくり伸ばす5分

すべてを守る必要はありません。まずは午前と午後に1回ずつ、5分ルーティンを入れる日を作るところから始めましょう。

ポイント 1回の時間は短くて構いません。運動ガイド2023も、強度を問わず少しでも体を動かすことが健康に良い影響を及ぼすと紹介しています。

椅子とモニターはどう合わせる?

作業環境が合っていないと、休憩を入れても同じ負担がすぐ戻ります。情報機器作業のガイドラインの内容をもとに、一度だけ時間を取って調整しましょう。

5分でできる作業環境チェックリスト

  • 椅子に深く座り、足裏全体が床についている
  • 足が浮くなら座面を下げるか、足台を置いている
  • 画面は目から40cm以上離れている
  • 画面の上端が目の高さと同じか、少し下にある
  • キーボードとマウスを体の近くに引き寄せられる
  • 机の下に脚を動かせるスペースがある
  • 画面に照明や窓の光が映り込んでいない

ノートパソコンと在宅勤務の注意点

ノートパソコンは画面とキーボードが一体なので、画面を見ようとすると首が前に出がちです。長時間使う日は、スタンドで画面を上げ、外付けのキーボードとマウスを使う形が基本です。ガイドラインも、長時間の作業では外付け機器で疲労を予防するよう勧めています。

在宅勤務では、ダイニングテーブルとダイニングチェアで仕事をする人も多いでしょう。座面の高さが合わない場合は、クッションや足台で調整します。ソファやベッドの上での作業は、前かがみが続くため避けたほうが無難です。

椅子や机の高さを自宅で測る手順と、モニターアームなど道具の選び方は在宅勤務のデスクと椅子の選び方にまとめています。

通勤とオフィスで見落としがちな負担

日本整形外科学会が肩こりの原因に挙げるショルダーバッグと冷房は、40代の通勤とオフィスでよくある負担です。

  • ショルダーバッグは、左右の肩を時々持ち替える。荷物が多い日はリュックにする
  • ノートパソコンや資料を毎日持ち歩くなら、置いて帰れるものを減らす
  • 冷房が強い席では、羽織るものを一枚用意し、首や肩を冷やさない
  • 帰宅後は湯船につかる。同学会は、入浴や蒸しタオルで肩を温めることを予防策に挙げています

スマートフォンを見るときも、首が前に倒れた姿勢が続きます。移動中や休憩中は、スマホを目の高さに近づけて持つだけでも首の角度が変わります。

1時間ごとの「5分ルーティン」の手順

立って行う5分間の手順です。痛みが出る動きは行わず、反動をつけず、呼吸を止めないことが前提です。情報機器作業のガイドラインでも、小休止や作業休止中のストレッチは肩の疲れを防ぐとされています。

順番動き回数・時間
1立ち上がって両腕を上に伸ばし、深呼吸3呼吸(約30秒)
2肩を大きく回す(前回し・後ろ回し)各10回
3肩甲骨を背中の中心に寄せて止める5秒×10回
4首をゆっくり横に倒す(左右)各20秒
5背中で手を組み、胸を開く20秒×2回
6腰に手を当て、骨盤をゆっくり前後に動かす10往復
7かかとの上げ下ろし20回

それぞれの動きのポイント

  1. 深呼吸と背伸び:画面に向かって丸まっていた背中を伸ばします。息を吐きながら腕を下ろします。
  2. 肩回し:肘で大きな円を描くイメージです。肩をすくめたまま回さないようにします。
  3. 肩甲骨寄せ:胸を張りすぎず、肩を下げたまま寄せます。腰を反らさないよう注意します。
  4. 首の横倒し:耳を肩に近づけるように倒します。手で引っぱる場合はごく軽くにとどめます。
  5. 胸を開く:手を組めない場合は、両手を腰に当てて肘を後ろに引くだけで十分です。
  6. 骨盤の前後:膝を軽く曲げ、腰を反らす・丸めるをゆっくり繰り返します。腰に痛みが出る方向には動かしません。
  7. かかとの上げ下ろし:机に手を添えて行います。ふくらはぎを動かし、座りっぱなしで滞りがちな下半身を動かします。

時間がないときの「1分版」

30分ごとの区切りでは、1・2・7だけを行います。合計1分ほどです。会議室に向かう前、コーヒーを取りに行く前など、仕事の切れ目に入れてください。

注意 首を後ろに大きく反らす、勢いよく回すといった動きは避けましょう。動かしたときにしびれや痛みが走る場合は、その動きをやめてください。

仕事以外の時間で何を足せばいい?

区切る習慣ができたら、1日全体の活動量にも目を向けます。運動ガイド2023は、成人に次の量を推奨しています。

  • 歩行またはそれと同等以上の身体活動を1日60分以上(1日約8,000歩以上が目安)
  • 息が弾み汗をかく程度の運動を週60分以上
  • 筋力トレーニングを週2〜3日

同ガイドは「1回20分以上続けないと効果がない」といった最短時間はないとも明記しています。通勤で一駅分歩く、昼休みに10分歩くといった積み重ねで構いません。運動習慣がない人は、運動初心者向けの有酸素運動の始め方から始めると負担が少なく済みます。

座ったままでもできる体幹の使い方はドローインのやり方で、夜に体をゆるめる方法は寝る前のストレッチで解説しています。

なお、休憩の取り方は集中力とも関係します。作業と休憩の組み立て方は40代の仕事の集中術もあわせて参考にしてください。

どんな痛みなら受診すべき?

ルーティンは、あくまで日常の負担を減らすための工夫です。肩こりや腰痛の陰に、別の病気が隠れていることもあります。日本整形外科学会は、頚椎や肩関節の病気に伴う肩こりも少なくないとしています。

受診の目安 日本整形外科学会は、腰痛に次のような症状を伴う場合、放置せず速やかに整形外科を受診するよう勧めています。

  • 安静にしても痛みが軽くならない
  • 痛みがだんだん悪化する
  • 発熱がある
  • 脚がしびれる、力が入らない
  • 尿漏れがある

肩こりについても、同学会はまず整形外科医への相談を勧めています。腕や手のしびれを伴う場合や、数週間たっても改善しない場合は、早めに受診してください。

腰痛は、血管や内臓の病気など腰以外が原因で起こることもあります。いつもと違う強い痛みは、自己判断でストレッチを続けないことが大切です。

今日からやること

  1. 椅子とモニターをチェックリストで一度合わせる(足裏が床、画面は40cm以上、上端は目の高さ以下)
  2. 30分ごとに1〜2分立つ。会議の切れ目と電話は「立つ合図」にする
  3. 1時間ごとに5分ルーティンを行う。忙しい時間は1分版で済ませる
  4. 60分の会議は50分、30分の会議は25分で設定する
  5. 昼休みに10〜15分歩き、1日約8,000歩を目指す

FAQよくある質問

Qストレッチをすれば腰痛や肩こりは治りますか?

ストレッチだけで治ると言える根拠はありません。日本整形外科学会は、肩こりの予防として同じ姿勢を続けないこと、温めること、適度な運動を挙げています。ストレッチはその一部と考え、痛みが続く場合は整形外科で原因を確かめてください。

Q30分ごとに立つのは仕事中に現実的ですか?

1回1〜2分で構いません。電話は立って受ける、オンライン会議の終わりに立ち上がる、印刷物を取りに行くなど、仕事の動作に組み込むと続けやすくなります。会議が続く日は、会議と会議の間に必ず一度立つと決めるだけでも区切りになります。

Qスタンディングデスクを買えば座りすぎは解決しますか?

立って作業できる環境は座位時間を減らす選択肢の一つです。ただし、立ちっぱなしも同じ姿勢が続く点では変わりません。座る・立つ・歩くを切り替えることが大切です。購入前に、まずは立って行う作業を1日数回決めて試すのが現実的です。

参考資料

  1. 健康づくりのための身体活動・運動ガイド2023 厚生労働省
  2. 情報機器作業における労働衛生管理のためのガイドライン(パンフレット) 厚生労働省・都道府県労働局・労働基準監督署
  3. 肩こり(症状・病気をしらべる) 日本整形外科学会
  4. 腰痛(症状・病気をしらべる) 日本整形外科学会

この記事は一般的な情報提供を目的としており、診断や治療に代わるものではありません。持病のある方、服薬中の方、体調に不安のある方は、医師などの専門家に相談してください。